デジタル技術
はじめに
ここではデジタルに関して、いろいろなことを書いていこうと思って
います。
技術が発達し始めた頃、人間は自分達が生きている世界で起きている
様々な現象を何か別の現象に置換することで伝達、記録、再生してきま
した。これがアナログ技術です。
例えば、音を記録するレコードであれば空気振動の形をレコード盤に
刻むことで記録し、レコードの刻みを針で捉えてそれを空気振動に戻す
ことで再生するというやり方です。
しかし、時間の経過とともにレコードに記録した刻みは変形していく
ことに気付きました。音だけでなく写真や映画など、様々な記録が劣化
していきます。また、電話やラジオの音、テレビの画像なども、送信側
から受信側に届くまでの間に劣化する等の問題もありました。このため、
より高い性能を追及することが難しくなりました。
一方で世の中ではコンピュータというデジタル値を扱う技術がが急速
に発達していました。コンピュータの扱うデジタル値は、アナログ値と
比較して劣化することが少なく、また、劣化しても劣化を検知したり、
復元できるという特徴を持っていました。
しかし、アナログ機器が直ぐにデジタル機器に移行した訳ではありま
せん。当初のデジタル技術は今とは比較にならないほど処理能力が低く、
音声や画像を扱うには不十分でした。それが、21世紀になる前後には
人間の感覚では捉えることが難しいほど繊細な表現ができるようになり
ました。
また、人が感じる音、光、圧力、温度等のアナログ的な物理量を正確
かつ高速にデジタル値に変換するセンサ技術、アナログ・デジタル変換
技術や、デジタル値を人間が感じることのできるアナログ的な物理量に
変換するデジタル・アナログ変換技術等も発達しました。
更にデジタル値を圧縮・伸長する技術、デジタル値を送信・受信する
技術などの発達もあり、アナログ値よりもデジタル値の方が効率よく扱
えるようになったことで、アナログ装置がデジタル装置に置き換わって
いったのです。
デジタル信号処理